2015年5月18日月曜日

『THE MAN OF THE HOUSE』


4月は読書会をお休みしていたので、久しぶりの教室です。テキストだけはしっかりペナンにも持っていっていました。でもその目的は、ペナンでの英語のプライベートレッスンの前にホテルの部屋で声を出して読んで、発声練習をしようというもの。だって一人旅ですから、声を出して話す機会があまりないからです。この方法は、日本でも役に立ちますよ。英語のレッスンの前に家で声を出して何か英語で書かれたものを読んでいくと、舌が滑らかになります。

 

ということで、テキストの話の内容を考えると言うよりもただ読んでいただけです。それでも、3~4回は読んだので内容は把握しました。今週の木曜日がその日なので、もう一度頭を整理しようとテキストを取りだしたところ、今回はじめてその題名が目に入ったと言う訳です。「THE MAN OF THE HOUSE」でした。この題名が目にとまったところ、ほんと、「目から鱗」といったように、作者の意図がはっきりしました。

 

FRANK O’CONNORの作。世界の名作短編集からいつも持ってくる生徒のテキストです。内容は、母と10歳の息子の貧しい二人暮らしの家庭のお話です。母親の身体の具合がおもわしくなく、貧しい人のために無料チケットで薬をもらえる薬局に、その10歳の息子が薬をもらいに行く話……、簡単に言うとそんなところです。

 
 
 
 

この10歳の息子のことを母親や隣のおばさん、お医者さんまでが褒めるのです。「娘ではこうはいかない」と。あるいは、「息子である」ということが強調されます。こんな感じです。

 

It’s a funny thing about women, the way they’ll take orders from anything in trousers, even if it’s only ten.

 

あるいは、

 

“Wisha, isn’t he very good?” I heard her say in a low voice to my mother.

“As good as gold,” said my mother.

 

ドクターが薬をもらいに行かなければいけないという場面では、

 

“I’ll go, Doctor,” I said at once, relieved that he had said nothing about hospital.

“This is a long way,” he said, doubtfully.  “Do you know where it is?”

“I’ll find it,” I said.

“Isn’t he a great little fellow?” he said to my mother.

“Oh, the best in the world,Doctor!” she said.  “A daughter couldn’t be better to me.”

“That’s right,” said the doctor. 

 

なんでこんなに「男の子である」ということを強調するのかと疑問に思っていたところ、題名に気付いてビックリ。すべて納得しました。The Man of The HouseMANは、息子のことだったんですよね(気づくの遅いよね)。わたしは、ずいぶん前の小説だから男性贔屓なのかと思っておりました。

 

 

この10歳の男の子は生意気な奴なんです、最初は。母を助けて家を守るという意識で、他の子供たちを子ども扱いするような。つまり、ひとりで母を助ける健気な息子役を演じているような感じ。一日目はそれですみました。しかし、次の日も母親の容態はよくなりません。で、彼は二日間も「良い子のお芝居」はできなかったみたいです。母の病気が重くなって、ひとりで生きて行かなければならなくなるという「現実」を知ったのです。

 

The depression was terrible when, next morning, my mother seemed not to be any better.  I had done all I could do, and I felt helpless.  I lit the fire and got her breakfast, but this time I didn’t stand at the front door to see the other fellows on their way to school.  I should have been too inclined to envy them.

 

ここから、彼の冒険がはじまります。母の薬を離れた町の薬局まで取りに行くと言う。言わば、「はじめてのお使い」ですね。なんやかんやあって薬局に着くと小さな女の子が同じように薬を待って、ベンチに座っていました。彼女はその薬局に何度も来ているようで、馴れた様子で少年にどうしたらいいのか教えます。すっかり仲良くなって、彼は母親にもらった1ペニーを彼女と食べるお菓子に変えてしまいます。その1ペニーは母が用心のために彼に持たせたもの、そして、彼は来る道にあった教会で「母が治ったらここに1ペニーでろうそくを買って供える」と誓ったお金なのでした。

 

I had a penny, which my mother had given me by way of encouragement, and I made up my mind that when I had done my business, I should go into the cathedral and spend it on a candle to the Blessed Virgin, to make my mother better quick.

 

この女の子がしたたかな奴なんです。彼が「息子でなく娘」だったら絶対に騙されないのにと思いましたね。彼女は、彼がもらった母のせきどめシロップを飲ませてくれと頼むのです。せきどめシロップは甘くておいしいからと。彼女は彼から瓶を奪い取ってゴクゴクと飲みます。そして、彼にも飲むように勧めます。彼ははじめは断わりますが、一口飲んでしまいます。彼女が言う通り甘くておいしかった。それで、順番に飲んでいるうちに全部飲んでしまいます。彼がそれに気が付いて、突然泣き出します。大泣きです。彼女は、「なんで、そんな馬鹿な老人みたいに泣いているの。瓶のふた(コーク)が落ちて、全部流れたと言えば良いじゃない。そんなことは、いつでも普通に起ることよ。」と言います。

 

彼は、「君のせいで薬は全部飲んじゃったし、教会に供えるろうそくを買うお金も君のキャンディになってしまった。」と文句を言います。彼女は、「フン!馬鹿な奴」って感じ。

 

“Ah, don’t be a old crybaby!” she said contemptuously.  “You have only to say the cork fell out.  Sure, that’s a thing could happen to anybody.”

 

 

帰り道、彼は「奇跡が起こって母の病気が治ったら必ずお金が出来た時、戻って来て、ろうそくを供えますから奇跡を起こして下さい。」とthe Blessed Virginにお願いします。その上、薬を飲んだせいか彼は身体の具合が段々悪くなり、家に辿り着くと母の寝ていたベッドに倒れ込みます。母はびっくりして、事情を問い正します。彼が説明すると、母親は「わたしが悪かった。」と言います。こんな小さな子供にたいへんなことを頼んで悪かったと。

 

彼はそのまま意識を失ってベッドで寝てしまいます。翌朝、母がやさしく彼の面倒をみます。「良い子だ」と言ってくれた隣のおばさんの信用は逸っしますが、「ある意味奇跡は起こったのだ」と彼は思うのでした。

 

I knew that was a judgment on me, but I could do nothing about it.  Later I saw my mother come in with the candle and her paper, and I smiled up at her.  She smiled back.  Minnie Ryan might despise me as much as she liked, but there were others who didn’t.  The miracle had happened, after all.

 

 

結論は、なんでしょうね。「結局、10歳の男のなんてこんなもんだ。」っていうことでしょうか。言い過ぎか?







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